ヘルプ−シーキング(help-seeking)=人々が助けを求めて起こす行動を指します。
何事も「全部ひとりでやらなきゃ」と思いがち。
従来「人に頼る」「人に助けを求める」ことは、弱さとして捉えられていました。
最近の研究では、同僚に迷惑をかけないといったことにとどまらず、仕事の成果という視点で捉え協同体制をつくる目的達成型の調整能力が求められていると言わています(中原ほか,2018)。つまり仕事の上でも必要な助け求めることは「能力」として捉えられています。
仕事でも、プライベートでも、ワークライフバランスでも「全部ひとりでやらなきゃ」は、負担を抱えたり、つらくさを抱えマイナスに働くことも多いのです。
ヘルプシーキングは以下の4つのプロセスからなります。
①問題を認識する:ヘルプシーキングは「自分は問題を抱えている」と自覚するところから始まります。ヘルプシーキングの必要性に気づかないと、問題が長期化あるいは深刻化するリスクがあります。
②告白する勇気を持つ:自己肯定感の低い人や、周囲の評価が下がることを極端に恐れる人にとって、自分の問題を告白するのは、ハードルが高いことです。まずは、このハードルを乗り越える勇気が必要です。
③サポートを求める:勇気が持てたら、適切な相手とタイミングを見極めて、サポートを求める行動をします。たとえば、上司や同僚への相談、メンタルヘルスの専門家への相談などが挙げられます。
④サポートを受け入れる:助けを求めたあと、提供されたサポートを素直に受け入れることで、ヘルプシーキングが成り立ちます。サポートを拒否すると、問題のさらなる悪化を招くことがあります。
今抱えていることを概観し、目的を達成するため必要な助けを求める勇気をもつ。
人に助けを求めるのは「弱さ」ではなく、能力であり人としての「強さ」です。
仕事、プライベート、メンタルへルス・・・
「全部ひとりでやらなくちゃ」「つらいけど頑張らなくっちゃ」から脱却し、ヘルプシーキング能力をつけていきましょう。
参考文献
中原淳,トーマツイノベーション(2018):女性の視点で見直す人材育成―だれもが働きやすい「最高の職場」をつくる,
ダイヤモンド社,東京.
菊澤佐江子. (2010). ヘルプ-シーキングと家族・コミュニティ: ネットワーク-エピソードモデルの意義と可能性. 社会志林, 57(3), 91-101.
小田木朝子. (2022). 仕事は自分ひとりでやらない. フォレスト出版.