マスクの着脱、新型コロナの感染症法の5類引き下げ、この3年間を思い返しいろんな思いで受け止められていることではないでしょうか。
多くの施設で、「中途で辞めていく人が多く、なかなか人が集まらない」、
コロナの波が来るたび看護職が疲弊し辞めていき人員確保が難しい。
病棟を閉鎖したり・病床を減らしての運営されているところも。
今年度の離職率は、どこも高いようです。
それに反し、テレビやSNSでは、「看護職の相談」を前面に打ち出した人材派遣会社のCMを多く目にしますね。
なんだか、複雑な気持ちです。
精神科医のビヴァリー・ラファエルは著書「災害が襲うとき」で、
災害時、看護師や救急隊員といった救援者の役割上のストレス要因として、
「自分が適切な措置をとれなかったこと」「人手不足」「資材や器具の不備」
「官僚主義からくる諸問題」「目的地へ到達できないこと」「通信連絡の支障」などをあげています。
また、仲間とともに誇りを持っていた仕事に、求めに応じることができなかった自分の力のなさに無力感を感じる。
これらは、このコロナ禍の看護職にも通ずる内容だと思います。
さらに、ラファエルはそのような救援者の対処方法として、支援的人間関係の活用が重要であると言っています。
家族、友人、仲間との間で、自分の感情、恐怖、フラストレーション、そして手柄話までを言葉にする「トーキング・スルー」が重要と述べています。
これは私の経験上、阪神大震災のあと自然になされたことですが、コロナ禍では難しかったと感じています。
同時に、互いの看護を語ったり、話し合ったりすることも難しかったですね。
失われた3年ではなく、「これまで」も「今」も「こらから」も語れるような、
そんな仕掛けが今後必要なのではないかと感じています。次年度の教育や支援の計画、ともに考えていきます。
看護の楽しいところも話せるといいな。
参考文献
ビヴァリー・ラファエル著/石丸正訳. (1989). 災害の襲うとき‐カタストロフィの精神医学.
安克昌. (2001). 心の傷を癒すということ. Kadokawa Shoten.
また、