昨今ウェルビーイングはトレンドといえるほどよく聞く言葉になっています。
2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsの17のゴールに「GOOD HEALTH AND WELL-BEING」があり、ウェルビーイングが注目されだしました。
先日参加した第87回日本心理学会でも、ウェルビーイングはポジテイブ心理学の中心的なテーマとして議論がなされていました。
「幸福」Happinessが一時的な感覚に対し、「ウェルビーイング」は満たされた状態が持続するとのことです。
ウェルビーイングの概念として有名なものに、「PERMA」という指標があります。
これは、「ポジティブ心理学」を唱えた、マーティン・セリングマンによって考案されたもので、
以下の5つの要素を指します。
- Positive Emotion(ポジティブな感情)
- Engagement(何かへの没頭)
- Relationship(人との良い関係)
- Meaning and Purpose(人生の意義や目的)
- Achievement/ Accomplish(達成)
これらを追求することで持続的な幸福へむかうと言われています。
自分はどうなんだろうと過去を振り返ってみました。
遡ること3年前、私は病院で働いていました。
自分が組織にできることに限界を感じ「このままでいいのか?この先どうするか?」を一年かけて考えることにしました。
変化していくのは世の中だけでなく、自分の気力や体力も。
キャリア後期をどうのよう生きていくのか、このままでいいのか?
これらの指標を見まわしてみると、その当時の自分の価値観や意思決定に大きく影響していたと思います。
中心となっていたは、自分が看護に携わる「意義・目的」だったかもしれません。もちろん「未来」を見ると不安ばかりでした。
今の自分を見てみると、「ナースをサポートする」ということが、この5要素すべてをプラスに向けていると思います。
ウェルビーイングには、ほかにもアメリカのギャラップ社が提示している5つの要素もよく知られています。
- Career Wellbeing:仕事に限らず、自分で選択したキャリアの幸せ
- Social Wellbeing:どれだけ人と良い関係を築けるか
- Financial Wellbeing:経済的に満足できているか
- Physical Wellbeing:心身ともに健康であるか
- Community Wellbeing:地域社会とつながっているか
病院での看護実践を思い返してみた時、もし病いと生きることになっても、「過去と未来」から自分を解放し「現在に生きる」ことができれば、ウェルビーイングな状態だといえるのではないだろうかと思います。
看護師というキャリアの中では、がむしゃらに看護をやっていた時期があったり、燃えついたり、仕事と家庭のバランスを取るのに必死だった時期もあったり、どう考えたらいいかわからないはたくさんありました。
自分一人で考えるだけでなく、いろんな人との対話の中で見えてくるものもあります。
健康経営が叫ばれる昨今、他者のことだけでなく自分のウェルビーイングについて、立ち止まって考えてみることも必要かもしれませんね。
Seligman, M. E. (2012). Flourish: A visionary new understanding of happiness and well-being. Atria Paperback.
ポジティブ心理学の挑戦 “幸福”から“持続的幸福”へ マーティン・セグリマン(著)宇野カオリ(監修,翻訳)ディスカヴァー・トゥエンティワン (2014)
Carel, Havi. (2013), Illness: The Cry of the Fresh, Routledge